慣れない街を歩いていて
古い団地に目を奪われる
ことがある。
そこだけ時間が止まってしまった
かのような佇まい。
先日もそんな古い団地を見かけた。
周りに新しい高層マンションが建つ中、
そこだけ空気の重さが違うような感じ。
低い天井、
薄暗い廊下、
草の生えた敷地、
ひびの入った壁の塗装、
苔の生えた水路。
軍艦島とまではいかないけど、
そんな風景を思い出させる感じ。
朽ちていくものが持つ
時を経た美しさというか。
こういったものに
なぜ惹かれるのか分からないけど、
気になる。
子供のころに
かくれんぼとかして
遊んだ風景に近いからかな。
ちょっと意味合いは違うけど、
最近こんなキーワードも気になる。
「静謐(せいひつ)な空間」、
「たゆたう心」。
あと、
こんな言葉。
村上春樹さんの小説『羊をめぐる冒険』
の中に出てくる、いるかホテル支配人の
言葉。
「「私も時々何かを探すことができればと思うんです」(中略)「でもその前にいったい何を探せばいいのかが自分でもよくわからないんです。(後略)」
(『羊をめぐる冒険』より)
一見脈絡のないこれらの言葉や風景が
なぜか自分の中でリンクしている。
何かを思い出そうとしているのか、
気づこうとしているのか。
まぁ、とにかく、
こういったふっとした記憶や感覚って
大事にしておいた方がいいなと思う。
今日(昨日)のくすの木。